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2012年5月13日 190名の参加を得て充実した議論

若い世代の参加者、目立つ

 連合赤軍事件四十周年のシンポジウムは、爽やかな五月の風の中、約190名の参加を得て開催されました。
 参加者には20代、30代の若い世代が目立ち、また、車椅子で来られた方も2名を数え、この種の集会としては異例の幅広いものとなりました。
 予定を30分オーバーする長丁場になったにもかかわらず、各セッションの議論は充実し、「まだまだ聞き足りなかった」、「次はいつやるのか」という意見も寄せられました。
 今回も複数のメディアが取材し、翌朝にはNHKのニュースでも報じられました。

 シンポジウムの全内容は、7月発行予定の「証言」10号に掲載します。



シンポジウム 浅間山荘から四十年 当事者が語る連合赤軍

●プログラム

司 会:金 廣志 椎野礼仁
当事者:植垣康博 青砥幹夫 雪野建作 前沢虎義
(第2部から4部まで連続出演)

第1部 映像でふりかえる
pm1:30−1:50
当時の資料映像で構成(制作:馬込伸吾)

第2部 当事者世代が語る
pm 1:50−3: 10
・ゲストパネリスト
塩見孝也、三上治、鈴木邦男

第3部 連合赤軍事件が残したもの
pm 3:20−4: 40
・ゲストパネリスト
森達也、田原牧、大津卓滋

第4部 若い世代にとっての連合赤軍  
pm 4:50−6:10
・ゲストパネリスト
雨宮処凛、山本直樹、ウダタカキ、小林哲夫、赤岩友香


参加の呼びかけ

 いまから40年前、日本を震撼させた事件がありました。
 公安権力は「それ見たことか」とばかりに、一旦掘り出した遺体を埋め戻し、記者の前でまた掘り返すという死者を冒涜する演出を繰り返しました。週刊誌には、書き手の品性が露わになる読むに堪えない記事が氾濫しました。
 しかし、心ある人たちは、無私の活動の果てに悲惨な最期を遂げた若者たちを深く悼み、悲しみました。
 それから40年たち、遺族の方々は今なお消えることのない悲しみの四十一回忌を迎えました。

 40年前の事件は人々の心に深い傷を残し、多くの人々は長い間そのことに触れることを避けてきました。
 しかし、この十年ほど、ひとびとはこの事件に再び光を当て、それが何を意味したのかを考えるようになってきました。多くの書物が出版され、この事件が新聞・雑誌の記事やテレビ番組で扱われることも多くなりました。映画の「実録・連合赤軍」は海外でいくつもの賞をとりました。また漫画の「レッド」は、文化庁の賞をとり、私たちを驚かせました。また、当時は生まれてもいなかった若い人々が、この事件に興味を持ち、本を読んだり、映画を見ています。
 歴史学の分野でも、はじめてこの時代とあの事件を正面から取り上げた学術的な大著『1968』が上梓されています。

 連合赤軍事件は、その5年ほど前から高揚した若者たちの運動を背景としていました。この大衆運動は、ベトナム戦争とそれが引き起こしたアメリカやヨーロッパで急進的な学生運動の大波に呼応しており、また、ソ連圏で起きたプラハの春などの清新な運動とも連動していました。67年から72年に至る大衆運動は、同世代の何割もの人たちが参加した広がりをもったこと、足掛け5年にもわたる年月の間持続したこと、さらに、全国各地でさまざまな課題を取り上げたことなどで、現代の日本の民衆運動の歴史の中でも特筆すべき性格のものでした。
 しかし、連合赤軍事件の後、この事件とその背景をなした大波のような大衆運動は、急速に退潮していきました。また、この時期からかなり長い期間にわたって陰惨な内ゲバが続き、それによる死者は100人に上るといわれています。
 以後数十年、連合赤軍事件は本格的な研究の対象とされることもなく、歴史の中に埋もれていったかのようでした。連合赤軍事件は、決して忘れ去ることはできないがあえて触れようとは思いたくない、のどに刺さった骨のように、人々の意識の底に沈潜していました。
 いわば、この事件とその背景をなした数年間は、数十年の間「正史」の外に置かれてきたのです。

 昨年、日本の社会は、激しい地震と大津波、引き続いて発生した原発事故の洗礼を受けました。人々は、長い間疑問も持たなかった日本の社会と文明の成り立ちと、これまでの世の中の仕組みに対して、考え直すことを強いられています。

 このような時代に、私たちは連合赤軍事件40周年を迎えました。
 この時にあたり、あの事件とあの時代に再び光を当て、それが何を意味していたのか、語り合い、考えてみようではありませんか。

2012年3月1日
                                 連合赤軍事件の全体像を残す会

(2012.04.02)